「竜馬がゆく(八)」を読んで

ながいながい竜馬の物語が、やっと終わった。ながかった。でもこの奇妙な主人公の魅力にあてられて、物語が終わってしまうのが名残惜しくてならなかった。
八巻では大政奉還にむけて竜馬が四方八方に駆け回り、遂に実現する。その間、長崎で起きた夷人斬りで海援隊に容疑がかかったりして竜馬は多少の寄り道をせねばならなかったが、なんとか徳川政権消滅まで漕ぎ着いた。

物語の終りは、突如やってくる。竜馬の死は、あっけなく訪れた。人の死とは大概そんなものなのかもしれない。

大政奉還が実現し、新政府の人員を集めるために竜馬は越前福井に向かった。それから京に戻り、十日後に暗殺された。あっけない。あれだけの英雄が、暗殺者という名の政治によって命を掻き消された。

竜馬暗殺のシーンはおまけのように付いていたが、少し造り過ぎ感は否めなかった。この小説が書かれた頃はいざ知らず、現在は龍馬は初太刀で即死ないし瀕死の重症というのが定説になっている。傷を受けながらも立ち上がって太刀を浴び、刺客が引き上げたら階段付近まで這って行ったなんてのは信じがたい事だ。

にしても、竜馬の生涯は波瀾万丈で面白いものであった。龍馬もあるいはそうなのだろう。彼は今や日本中の英雄だけれど、果たしてどれ程のものなのか私はまだ掴みきれていない。龍馬ばかりが取り上げられるけれど中岡慎太郎の活躍の方が実は大きかったのではないかと漠然ながら疑ったりもしているが、何分勉強不足なので正確なところは何も知らない。しかし二流三流の志士ではないのは確かなことで、やはり凄い人だったのだろうと思う。



八巻には「あとがき一」から「あとがき五」まで五つのあとがきが収められている。というのも「竜馬がゆく」は文庫本だと八巻だが単行本だと五巻(「立志篇」「風雲篇」「狂瀾篇」「怒濤篇」「回天篇」)でそれぞれにあとがきが付しているとか。面白い挿話がいくつかあった。あとがきを読んでいると龍馬という男の不思議さが身に染みる。同時に足で取材することの意義を改めて感じた。司馬遼太郎氏の取材や史料集めはやはりすごい。私ももっともっと色んなところに足をのばしたいし、高知にも長崎にも行ってみたいと思った。


竜馬がゆく〈8〉 (文春文庫)
文藝春秋
司馬 遼太郎


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